ポケモンGO小説(タイトル未定)第一話。
ポケモンGOが日本で配信されない悲しみから、小説開始です。
更新は不定期。ポケモンGO配信待ちにでも、よろしければ御覧ください。
(タイトルはおいおい考えます )
01
子供の頃に感じたわくわくした気持ち。
ゲームボーイのスイッチを入れて、電子の友達と共に旅に出た記憶――
赤峰陽介、今年三十歳。職業、サラリーマン。
俺がそれを思い出したのは、6月の上旬にツイッターに流れてきた、とある情報を見たからだ。
「ポケモンGO……?」
何やら俺のツイッターのフォロワーたちが湧いている。
どうやら、スマホで遊べるアプリゲーでフィールドテスト――いわゆるβテストが行われるらしい。
βテストとは、正式にゲームを配信する前に行う、最終テストみたいなものだ。
実際に配信するゲームを特定のユーザーにやってもらい、システムの不具合などを見つけるために行うらしい。
だが、それよりも、俺が気になったのはゲームのタイトルだった。
――『ポケモン』。
その言葉に夢中になったのは、かれこれ二十年も前のこと。
当時、俺は十歳、小学校四年生だった。
『ポケットモンスター』というゲームボーイソフトが発売したのが、その年である。
赤と緑という二種類のソフトがあって(その後、すぐ青も出たと思う)、“ポケモン”というモンスターを151匹集めるゲームだった。
これが、ポケモンと呼ばれるシリーズの初代だった。
それから、シリーズは重なってゆく。
金銀、ダイヤモンド……辺りまでは名前も耳にしたが、俺がプレイしたのは初代だけで、シリーズ新作が出ても、見向きもしなくなっていた。
ポケモンは子供のゲーム。
大人の俺がやるものじゃない。
中学に上がる頃から、そんな風に思い始めていたのかもしれない。
そして現在まで、初代以外のシリーズはプレイせずにきたわけだ。
最近も、ゲームボーイではないものの3DSという携帯ゲーム機で遊ぶことが前提となっていたポケモン。
だが、そんな中で、
「へー。スマホか」
回ってきたツイートを見て、思わず声にした。
ベッドの上でごろん、と仰向きだった体勢をうつ伏せるように変えて、画面を見る。
これは、なかなかいいアイディアだと思った。
少し前では考えられなかったが、スマホは今じゃ普及率も高く、ゲーム業界でも伸びているのはスマホ市場らしい。それはアプリの配信数からも分かることだ。
つまり、売上が見込める。
……大人になると、金金金で嫌になるね、本当。ビジネスとしていけるかどうかを先に見てしまう。
けど、いいアイディアだと思ったのは、金だけが理由じゃなかった。
「……面白そうだな」
リンク先の公式ページのゲーム説明を見ていく。
どうやらこのポケモンGO、現実世界を歩き回り、スマホのカメラを使って遊ぶらしい。
簡単に言うと、現実世界とリンクしているのだ。
あの、四角い画面の中の、架空の世界にしか存在しなかったポケモン……
電子の友達。
スマホの画面を通してではあるが、現実の、自分が見ている世界に彼らが存在しているところを見ることができる。
現実世界を、一緒に旅することができる……
と、ゲームのトレイラー――いわゆる宣伝動画があったので、見てみることにした。
「……すげえ。何だこれ」
思わず見入る。
見つけたポケモンをモンスターボールで捕まえたり、それを交換したり。
次は市街でポケモンバトルをしている映像だ。
(っていうか、バトルもできるのかよ!?)
などと思っていると、
彼が出現するイベントで、市民が自分たちのポケモンを使い、協力し、全員で叩き、
ピカチュウ――今ではポケモンのマスコットキャラとして、知らない者はいないあの黄色いネズミ型ポケモンが、トドメを刺して――
――画面に映るのは、『GOTCHA(捕まえた)』の文字。
「何だよこれ……めっちゃやりてえ……!」
スマホを握りしめ、思わず呟く。
ぞくぞくした。
目が熱くなっていた。
忘れていたわくわくを、子供の頃には知っていたあの気持ちを。
電子の世界で覚えた感動を。
電子の友達と旅した、あの日々を。懐かしい日々を。
俺はその時、確かに思い出していた――
――気づいた時には、俺はβテストの応募を終えていた。
純粋に、やってみたいと感じたゲームとの出会いは、久しぶりで。
目が覚めるほどの衝撃を伴っていた。
キャラクター紹介
・赤嶺 陽介(あかみね ようすけ)
30歳サラリーマン。営業職。数字に追われて、夢を追うのをやめた。
小学校4年生の時に初めてやったポケモンは『レッド』。主人公の名前は『ようすけ』。
初めてのポケモンは『ヒトカゲ』。